福利厚生の負担に法規制はあるの?

(写真=Marta Design/Shutterstock.com)

日本における福利厚生には、法定福利厚生と法定外福利厚生があります。日本経済団体連合会が発表した2015年度の福利厚生費調査結果報告によれば、企業の福利厚生費は全産業を平均すると従業員1人1ヵ月当たり平均11万627円、前年度比2.1ポイントの増加となりました。このうち、法定福利費は8万5,165円で同2.0ポイント増加、法定外福利費は2万5,462円で同 2.3ポイント増加となっています。 年々増加傾向にある企業の福利厚生負担に関して、どのような決まりがあるのか見ていきましょう。

法定福利厚生の法規制

法定福利厚生とは、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・労働保険料・児童手当拠出金など、法律によって義務づけられている福利厚生制度のことです。事業主の負担においては社会保険各法によって規定されています。 主なものとして、健康保険料や介護保険料は健康保険法に基づいて算出されます。算出方法ですが、社員の給与に基づいて年1回算定される標準報酬月額に指定された保険料率を乗じて算出され、原則労使折半のもと負担額が決められます。 介護保険料は40歳以上65歳未満の医療保険加入者を対象として加入が義務づけられています。また、日本における年金保険には国民年金と厚生年金がありますが、厚生年金保険料については厚生年金保険法に基づいて算出されます。算出方法は健康保険料と同様であり、労使折半で負担します。 労働保険料については、労働保険の保険料の徴収に関する法律によって規定されています。そもそも労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)および雇用保険の総称ですが、負担額は実に複雑に算出されます。労災保険については事業主が全額負担であり、保険料率は事業の種類別で決められています。雇用保険については、失業等給付に要する費用は労使折半なのですが、雇用安定事業および能力開発事業についての費用は全額が事業主負担と決められています。

法定外福利厚生の法規制

法定外福利厚生は、法定福利厚生とは違い法律で義務づけられておらず、企業側が任意・独自に設定する福利厚生のことです。法律で義務づけられていないから、特に法規制がないかといえば、そうではありませんので注意してください。 例えば社内預金については、労基法によって強制貯金の禁止が規定されています。社員の貯蓄金を委託管理する任意的預金については、社内規定の策定と周知、政令で定める利子の設定、貯蓄金の返還には遅延なく返還する、預金の管理状況の労働基準監督署長への報告など、多くの項目が義務づけられています。また企業年金などの退職給付についても、さまざまな法律が関連しています。 企業年金の主な例として、厚生年金基金、確定拠出年金、確定給付企業年金などがあり、それぞれ各法に基づいて規定されています。中小企業退職金共済制度についても法規制があります。 さらに、現在社会的な問題にもなっている子育て・介護については、育児休業、介護休業等育児、または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律によって、企業に対する必要な措置の努力義務を課しています。社員が安心して働ける環境づくりのためにも必要な法定外福利厚生の一つとなるでしょう。

法定外福利厚生にはどのようなものがあるか

法定外福利厚生には、代表的なものとして住宅関連(社宅や住宅手当など)・医療保健関連(健康診断や常備薬など)・慶弔金・交通費・退職金・育児支援・保養施設・歓送迎会や社内旅行などのレクリエーション関連・社内食堂・教育関連などがあります。 現在では、社員のさまざまなニーズに対応できるように、カフェテリアプランという仕組みを導入する企業も増えつつあります。カフェテリアプランとは、企業が用意した複数の福利厚生メニューの中から、それぞれの社員に配分されたポイントを使って自由に選択利用できるという福利厚生制度のことです。 カフェテリアプランは社員のニーズに応じてメニューを追加・変更できるという利便性もさることながら、全員にポイントを配分することで利用社員が偏ることへの解消にもつながるでしょう。 法定外福利厚生は任意であり、必ずしも行う義務はありません。しかし年々増加傾向にある法定外福利厚生の費用は、各企業が今後の成長のために必要な投資だと感じていることを如実にあらわしています。

福利厚生の法規制について確認を

企業において福利厚生とは、働く意欲や企業全体のモチベーション向上・能率向上はもちろんのこと、有能な労働力の採用や、雇用の長期継続のためにも非常に重要な要素です。 複雑な法規制があるので、確実な知識を備えた上で、制度化・実施していく必要があるでしょう。

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